【パクリ冤罪】「甲子園を疑似体験できるバッティングセンター企画」が偶然かぶった件から考えたこと
- 2018.08.17
- BLOG

※この記事は、アイデアをパクられて怒っている記事ではなく、アイデアが偶然かぶったアンビリーバボーなお話です。そして定期的にネット炎上する「パクリパクられ問題」について、冤罪もあるということについて書きたいと思います。
こんにちは、佐藤ねじです。先日、前職のカヤックからこんな企画が公開されました。
ドラマチックバッティングセンター
https://koshien-pocket.kayac.com/100th/event/
バッティングセンターにチアガールや実況、女子マネ、ウグイス嬢などが登場し、甲子園が疑似体験できる企画です。またホームランをすると100万円が先着1名にもらえるそうです。甲子園ポケットという、カヤックが出しているゲームのPRとして制作されました。
しかし、実はこれと似た企画を、僕が去年の年末にテレビ番組で作っていました。
甲子園4D
「正解のない問題」は、プランナー3名がお題に対してプレゼンをして、アイデアを競うという番組です。僕は「バッティングセンターを面白くする」というお題に対して、甲子園のマウンドに立っているかのように、音や物語を加える案を出しました。実際に「チアガールとブラスバンドと実況」をバッターの横に立たせて盛り上げる検証を、行いました。
https://blue-puddle.com/wordpress/news/tv_201812

「甲子園4D」バッティングセンターに、実況の声を入れて物語をつくることで気分を上げるアイデア。本当は、野球漫画的な展開になったり、舞台をメジャーリーグにしたり、その人に合わせて、いろんな実況と効果音を流すイメージです。(TVでの再現はむずいですが)#正解のない問題 pic.twitter.com/ygCzMAuUek
— 佐藤ねじ(ブルーパドル) (@sato_nezi) 2017年12月28日
●正解のない問題(日テレ)
http://www.ntv.co.jp/seikainonai/
さらに番組では、別の回答者の松尾卓哉さんの企画「バッティング射的」の企画と僕の案が混ざり、チアガールに応援されながら、射的の大当たり(ハワイ旅行)を狙うという盛り上がりを見せました。
この部分も「ホームランで100万円のインセンティブが当たるから、頑張って打つぞ!」とバッターが張り切ってしまう構造と似てる…と思いました。

パクリじゃないの?と問い合わせ
カヤックとは独立後も仲のいい関係にあるし、「甲子園4D」のFacebookシェアに対して、数人のカヤックメンバーもいいねを押してくれているし、テレビに出たこの企画を知らないわけがない。

僕は、このカヤックの企画については全く聞いてなかったので、「甲子園4Dのやつ使った?」と、カヤック内の友人に聞きました。
もしアイデアを参考にしたなら、事前に言ってもらえれば一緒に作れたし、企画原案として参加できれば、winwinだったのに…と哀しい気持ちにもなっていました。
●ドラマチックバッティングセンター
●甲子園4D
回答「知りませんでした」
しかし実際に企画した人に聞いたところ、僕がテレビでやった企画のことは、本当に知らず、偶然かぶってしまったという回答でした。他にも、関わった制作メンバーは全員「甲子園4D」のことは知らなかったようです。社内で「甲子園4D」の存在を知っていた人も数人いたものの、逆に公開前の「ドラマチックバッティングセンター」のことは知らなかったようです。
正直最初は、そんな偶然かぶることある?と疑っていました。カヤックは200人以上の規模です。ほぼ全員知らず、公開まで気づかないなんてことあるかなと。テレビで放送当時、周囲でも観たよーという声はそこそこありました…。実際のところ、忘れていたけど、記憶の片隅にあったものを、知らないうちに取り入れてたのでは?と思っていました。そういうことは、誰しもあるものだし…。
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偶然、アイデアがかぶることは普通にある!
実際に、企画者と何度か電話したり、時間を置いて考えてるうちに、本当に偶然かぶったのかもなと思えるようになりました。
冷静になって考えると、わざわざそんな身近な人の案をパクってもすぐバレます。企画した人は僕もよく知ってる優秀なプランナーです。
どういう経緯で「ドラマチックバッティングセンター」を企画したのかとか、企画書も見せてもらいましたが、ほんとに偶然、企画がかぶってしまったようです。
というか、普通に考えて、身近同士でパクるわけないですね!!
もちろん企画するときは、アイデアかぶりがないか検索はかけるべきですが、今回の僕の案は、テレビで実施したものだし、ネットPRは何もしてません。検索で引っかからなくても仕方ないです。
テレビ放送ではいろいろ反応もあったし、カヤックでほぼ誰も「甲子園4D」のことを知らなかったことは、けっこう寂しくはありましたが…、これは僕の告知が下手だっただけのことです…。
本当に偶然かぶることはあるんだなと思いました。

パクリ冤罪について
アイデアをかぶられた側は、どうしても感情的になってしまいます。そして有利な立場です。ツイッターで、2つの比較画像を添付し、これはどう見てもパクリでしょう。と一方的に攻撃したくなってしまう気持ちも分かります。
ですが、冷静になって考える必要があります。自分が思うほど、自分以外の誰も考えつかないアイデアなんてそうそうないし、近い思考回路の場合、偶然似ちゃうということは起こり得ます。ほぼ一致することだってあります。
逆に自分が、知らないうちに過去の誰かの事例とかぶってしまうこともあります。
なので、パクられたと思ったとき、相手側の気持ちになってみることが大事だなと痛感しました。「パクリ問題」は可燃性の高いネット炎上案件なので、もしパクられたツイートをするなら、ちゃんと本人と事実確認をしてから、冷静に行う責任が、こっち側にもあるなと。場合によっては、こっちが加害者になってしまうかもしれません…。
(そのため、今回の記事も公開前に、カヤックにも事実齟齬がないかチェックしてもらいました。)

「うんこ演算」と「うんこ漢字ドリル」
過去には、2011年にカヤック在籍時に「うんこ演算」という、算数問題を全部うんこを絡めたシチュエーションで説明するというアプリを、僕も関わっていたチームでリリースしました。
https://www.kayac.com/service/other/720


それから、6年後「うんこ漢字ドリル」がリリースしました。
このときも、僕は盛大にパクられた!と憤慨していました。パクられた上に、ちゃんと書籍で出して大ヒットされて、文句言える空気でもない「完全なるパクられ負け」だと思っていました。
しかし今回の甲子園の件を経て、あれも偶然かぶったのかもしれないなと思えるようになりました。問題文をうんこに例えるってだけですしね…。

バッティングセンターをもっと面白く
僕はカヤックは古巣だし、好きだし、全く喧嘩するつもりもありません。この件についても、誤解がないようにしたいのは、パッティングセンターがもっと面白くなることは嬉しいことなので、企画が出ること自体は、むしろ応援したい立場です。一緒に制作に誘ってもらいたかったくらいです。
だから、パクリがどうのこうのなんて話より、もっと前に進む話がしたいです。もっと僕も、バッティングセンターを面白くすることに関わっていきたいです。
例えば、僕の案もカヤックの案も、役者を使った派手な応援団サービスは、コストがかかるだろうし、1回の特別イベントでしか実施はできません。
「バッティングセンターを面白くする」という視点で言えば、こういう考え方もできます。(テレビで出していた初案です)





野球の名試合に参加
例えば、甲子園、プロ野球、メジャーリーグの試合データをもとに、その試合のバッターとなれる体験。実際に投げられた球と同じ「配球・球速」が飛んできたら、あの「松坂vsPL学園」の名試合に参加できます。
立体音響で、当時の音を再現
また、本物の人間のアサインは無理でも、その当時の球場を再現した応援などの音が、映画館の4DXのように、立体音響でスタジアムっぽく聞こえたりしたら、雰囲気が出そうです。
実際のマウンドでは、すぐ側に応援団がいるわけではないし、人間がいなくても音響の感じで、現実拡張させたバッティングセンターは作れるのではないかなと思います。
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アクティビティ×テクノロジーの可能性

そして、こういう発想はバッティングセンターに限らず、釣り堀・ボーリング・さびれた遊園地・公園・アスレチック・ボートなど、いろんなアクティビティが、もっとテクノロジーをうまく使って現実拡張することで、新しいコンテンツに化けるはずです。
こういった、とあうジャンルがバージョンアップする「0→1」の発見・開発に、僕はコミットしていきたいんです。
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誰が「0→1」を生んだか
それで、じゃあなぜこの記事を書いたのかというと、僕はこのアイデアの「0→1」を生む部分についてだけは、死守したいと思っているからです。
ちゃんと発言しておかないと、最初に甲子園を疑似体験できるバッティングセンターの「0→1」を生んだのがカヤックになり、「甲子園4D」は存在しなかったことになってしまう。
それはよろしくない。
アイデアの系譜は大事にしたいです。大きな会社が、大きなスケールでヒットさせたとしても、誰かが生んだ「0→0.1」は尊重しなくてはいけないと思っています。だから自意識過剰な感じもありますが、記事にしました。
逆に「0→0.1」しか生んでいないのに、それを「1」や「10」にした人を、頭ごなしにパクリだ!と叫ぶのもよろしくないし、パクリ冤罪にも気をつけないといけないですね。この件も、僕がパクリだ!と断言して、比較画像つけてブログやツイートしたら、たぶん真実とは関係なく、ネットでは「パクリ」ってことになってしまいます。

ちなみに、カヤックの今回の企画は、甲子園ポケットのアプリPRです。僕は在籍時に、このアプリの公式サイトもデザインしたし、アプリUIのエレメントも、僕が作ったベース部分がけっこう残っています。もっと売れたら嬉しいと思いますし、アプリPRとして、大規模なイベント企画や、面白い動画コンテンツなどを出しているので応援しています。
https://koshien-pocket.kayac.com/

甲子園が疑似体験できるチャンスは、8月いっぱい!
最後に、ドラマチックバッティングセンターは、8/30に開催されるそうで、抽選で当選するには、ぼくポケ公式アカウントのフォローなどが必要なので、興味ある方は、ぜひチェックしてみてください!
https://koshien-pocket.kayac.com/100th/event/
